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「探偵の仕事って違法じゃないんですか?尾行とか撮影などは特に違法な行為のように思いますが…。例えばプライバシーの侵害などにはならないのでしょうか?」
探偵や興信所が行う調査には尾行や撮影などがありますが、まれに調査自体が違法なのではないかというご質問もあります。
『探偵業務は違法ではないのか?』について探偵がお答えします。
「結論から言うと正当な依頼を受けた探偵業務は違法ではありません。その根拠などを説明します。まず、探偵業務を営むには探偵業法(探偵業の適正化に関する法律)に基づき、営業所ごとに営業所の所在地を管轄する都道府県公安委員会への届出が必要です。
これは探偵業を営むために必要な届出であって免許や許認可では無く、特別な権限が与えられるものではありません。ですが、届出を行うことによって探偵業法に定められた範囲内で業務を行うことが出来ます。以下は探偵業務の定義や実施等に関する部分を探偵業法から抜粋したものです。
【定義】
『第二条 この法律において「探偵業務」とは、他人の依頼を受けて、特定人の所在又は行動についての情報であって当該依頼に係るものを収集することを目的として面接による聞込み、尾行、張込みその他これらに類する方法により実地の調査を行い、その調査の結果を当該依頼者に報告する業務をいう。
2 この法律において「探偵業」とは、探偵業務を行う営業をいう。ただし、専ら、放送機関、新聞社、通信社その他の報道機関(報道(不特定かつ多数の者に対して客観的事実を事実として知らせることをいい、これに基づいて意見又は見解を述べることを含む。以下同じ。)を業として行う個人を含む。)の依頼を受けて、その報道の用に供する目的で行われるものを除く。
3 この法律において「探偵業者」とは、第四条第一項の規定による届出をして探偵業を営む者をいう。』
【探偵業務の実施の原則】
『第六条 探偵業者及び探偵業者の業務に従事する者(以下「探偵業者等」という。)は、探偵業務を行うに当たっては、この法律により他の法令において禁止又は制限されている行為を行うことができることとなるものではないことに留意するとともに、人の生活の平穏を害する等個人の権利利益を侵害することがないようにしなければならない。』
このように探偵業や探偵業務は正しい手続きを経て依頼を受け、各種法令や条例を遵守して行うもの及びそれら業務を営むものと探偵業法で定められています。つまり探偵業務は探偵業者にとって正当な業務です。これらを鑑みて探偵業務が違法行為か否かは刑法35条によって説明できます。
【正当行為】
『第35条 法令又は正当な業務による行為は、罰しない。』
このように刑法35条では明文に定められています。仮に探偵業の届出をしていない一般の方が正当な理由が無いにもかかわらず尾行や撮影を行った場合はプライバシー権の侵害等にあたりますが正当な理由がある場合、探偵業者が探偵業を行う場合には、その行為も違法性が阻却される(法律上その行為を正当と認める)ことになります。
一般的に探偵業務として知られている浮気調査という業務では御依頼者様から依頼を受けて、契約書等の書面を正しく交付し、浮気(不貞行為)の証拠を尾行や撮影等で収集し、御依頼者様に報告します。
例を挙げると
夫が浮気をしている妻からの依頼の場合、夫は配偶者に対して貞操(男女が性的関係の純潔を保つこと)を守る義務(明文では定められていませんが、民法770条※1で不貞行為が裁判上の離婚原因とされていることから義務があると考えられます)があります。この貞操義務に違反した場合には夫婦関係に対する侵害行為(貞操権に対する侵害)として、民法709条※2や民法710条※3に基づき不法行為による賠償責任を問われる(慰謝料請求される)可能性があります。もちろん浮気相手も慰謝料請求の対象です。
このように配偶者と浮気相手の不貞行為(浮気)の証拠収集のための尾行や撮影などの調査は浮気されている側には正当な理由があると考えられます。つまり依頼を受けた探偵業者による調査も正当な業務として違法が阻却されると考えられます。
※1:(裁判上の離婚)
第770条 夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。
1
一 配偶者に不貞な行為があったとき。
二 配偶者から悪意で遺棄されたとき。
三 配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。
四 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
五 その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。
2 裁判所は、前項第一号から第四号までに掲げる事由がある場合であっても、一切の事情を考慮して婚姻の継続を相当と認めるときは、離婚の請求を棄却することができる。
※2:(不法行為による損害賠償)
第709条 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
※3:(財産以外の損害の賠償)
第710条 他人の身体、自由若しくは名誉を侵害した場合又は他人の財産権を侵害した場合のいずれであるかを問わず、前条の規定により損害賠償の責任を負う者は、財産以外の損害に対しても、その賠償をしなければならない。」
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探偵歴21年の探偵事務所所長。メンタルケアカウンセラー・メンタルケア心理士・行動心理士。横浜・千葉・東京で気軽に相談出来る探偵事務所を展開中。神輿会など地元行事にも積極的に参加しています。